[コメント] いぬむこいり(2016/日)
遅れてきたアイドルに再び勃起するシニア左翼の夢精物語が発火点となって、戦場を駆ける中年カップルの面倒くさい青春冒険譚が燃え上がる。沖縄やエルサレムを想起する近親憎悪的対立に決着を着けるのは、異種混合が産み落とす無私無欲の純愛暴力であるという暴論。
この一見、でたらめなファンタジーに仮託した片嶋一貴のアナーキーさは、何でも白か黒かで割り切ろうとするせっかちな独善や、ねばり強い話し合いの継続がいつか理解を生むはずだ的な無責任なエセ正論で、本質から目をそらす今の風潮のなかにあって、貴重。
やりたい放題の展開を観客に力ずくで肯定させるため、VFXで取り繕うおざなりな空々しさよりも、かぶりモノの存在感がかもす武骨な作為を選択した“犬人間”の潔い造形もアッパレ。
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