[コメント] ミークス・カットオフ(2010/米)
未来のために“開拓者”を選択した者たちが、彼らを導くはずの案内人が売りにした“豪気な権威”の崩壊に直面する。案内人に従うか否かを男たちは合議で決め、妻たちは黙ってそれに従う。男たちの迷いは妻たちの不安となって開拓者は猜疑の荒野の“彷徨者”と化す。
自分たちの将来を託したて選んだ「権威」への疑念。合議で選ぶという一見民主的な「制度」が秘めている個々人の責任回避という罠。揺らぐ男たちの「権威」と「制度」の危さにたじろぎ、いらだち、絶句する女たち。
誰も責任をとらないということ。さらに、それを黙認するということ。これは、そのまま現代のエスタブリッシュメント、すなわち形骸化した民主制の危うさと、その先におとずれる混沌に対するケリー・ライカートの警告にみえた。
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