[コメント] スパイダーマン ホームカミング(2017/米)
なんか忘れられているような…。
いまやスーパーヒーローたちを相対化する視点というのはマーベルでもDCでも珍しくない展開だが、本作のマイケル・キートン扮するバルチャーのそれは地に足の着いた、非常にリアルな異議申し立てだったと思う。『シビル・ウォー』のような壮大な悲劇からではなく、大いなる正義のために踏みつけにされる庶民たちの卑近で切実な動機。これは今までと違った切り口で大いに説得力がある、と思ったのだが…。結局彼の叫びはスパイダーマンにもアイアンマンにもまったく顧みられることはなく、単に悪役の逆恨みのような扱いで終わってしまった。せっかく実在感のある悪役を作り出して、しかもそれを名優に演じさせておきながら、これはどういうことだろう。プロットが上手く噛み合っておらず、エピソードの羅列に終わってしまっているのが残念だった。
ただ、相変わらずキャスティングやキャラ造形の丁寧さはすばらしかった。「スーツを着なきゃ何も出来ないやつは、スーツを着る資格はない」というトニー・スタークの台詞は、まだまだ未熟なスパイダーマンの成長物語に観客を感情移入させる上で、見事な効果をあげていた。AIのカレンとの噛み合わない会話も笑えたし、サム・ライミ版からするとかなり意外性があったMJのキャラクターも今後に向けて楽しみだと思った。
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