[コメント] エル ELLE(2016/仏)
不穏な緊張の持続が心地よい。主人公をはじめ女たちは非情な扱いや、面倒な出来事にみまわれるのだが、みな冷静で決して取り乱したりしない。この徹底は、女の本性や強さといったありきたりな“状態”ではなさそうで、観終わってしばらく上手く理解できなかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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で後日、これはマゾヒズムの強靭さについての話しなのだと(勝手に)合点した。
レイプされたうえ、職場の軋轢や過去の事件のことで嫌がらせを受ける女社長ミシェル(イザベル・ユペール)は怒りもせず悲嘆もしない。夫の暴走を恨むでもなく、彼女の高齢の母親は色狂いを嗤われ非難されることを楽しんでいるかのようで、息子(馬鹿息子ぶりが面白い)の嫁は自分のふしだらさを非難しないパートナーの気弱さに苛立つ。ミシェルの経営パートナー(アンヌ・コンシニー)は親友に夫を寝取られても泰然自若で、隣家の主婦は夫の異常な性癖に気づきつつ放任して、すべてを神に捧げるように信仰に没頭する。
やはりこれはもう、女の闇の本性とか強さといった抽象的な話しではなく、理不尽さを無意識に進んで受け入れてしまうマゾヒストたちの話しなんじゃないですか。たまたま、描かれたのが女性だっただけで、そこに必然性はないような気がしました。
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