[コメント] 関ヶ原(2017/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
端的に言うとせわしない。 観る側のヒアリング能力をフル活用し、持っている知識を総動員して補完しながらついていかなきゃいけない。 まるで、自ら「新訳」を謳った『機動戦士Ζガンダム』劇場版3部作が「新訳」どころか「超訳」で30年以上も昔の記憶を掘り起こして補完したのと同様(<いや、そこまで酷くない)、観客の負担は結構大きいとは思うんですよね。
だけど、ある程度ついていけるとめっちゃ面白いんです。
場面場面で見せるべきショットとか、必要な構図とか、違和感なく、映画としてちゃんとしている。こういう映画、「CGでござい」って感じでカメラを無駄にグルグル回したりする監督いるけどね。原田眞人はそういう下手なことはしない。ま、せわしないけどね。
ちょっとネタバレ的なことを書きますが、この物語の“書き手”の話が出てくるんですね。つまりこの映画は早々に「“司馬遼太郎の”関ヶ原」であることを明かす。言い換えれば、「偏った視点ですよ」ってことを宣言する。 私はこの手法はアリだと思うんです。 こういう歴史物(あるいは事実に基づいた話)は「公平公正な視点」だと思いがちの我々観客に対して「これは映画であり、物語である」宣言を早々にする。
そう考えるとこの映画は、ジークンドー岡田くん演じる石田三成の“侠気”の物語であり、合戦スペクタクルという“見せ場”の映画であると思うのです。 早口だしテンポも早いしせわしない映画なのですが、突き詰めていくとシンプルな映画だと思うのです。 いやもう、これだけしっかりした合戦シーンを観たのは『ラストサムライ』以来。あ、原田眞人『ラストサムライ』に出てた。それだな、この映画を撮った動機は。
ついでに言うと、中越典子と伊藤歩を見てるだけでも楽しい(<そこかよ)。
(17.09.02 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞)
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