[コメント] めぐり逢い(1957/米)
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はじめは全く期待せずに見ていた。オープニングから散々焦らされて見たプレイボーイだというケイリー・グラント は全く格好よく見えないし、船で二人が噂の中心になった後なんて衆目の中での彼らの様子はコメディでしかなかった。ストーリーだけ知っていた私はいつ悲劇的な展開になるのだろうかと首を傾げていた。
けれど、それはよい意味で裏切られた。デボラ・カーが事故に遭った後の彼女の行動。まさに悲劇のヒロインであるはずの彼女は、元婚約者のケンには必要以上に頼らず(彼は惚れ惚れするほどいい男だ)、ケイリー・グラントには知らせさえせず、一人で立ち上がろうとしていた。そして立ち上がった足でケイリー・グラントの元に駆けつけようと……
若くて綺麗な女性が歩けないかもしれないような事故に遭ってこんなことができるものだろうか。
彼女の精神は気高い。そしてきっと芯の強い優しさがある。いつまで経っても格好よくならなかったケイリー・グラント。少し情けなくて、甘やかでどこか子供のような彼。なんて二人はお似合いなのだろう。
それにしてもラストシーン。ケイリー・グラントがあのドアを開けなければどうなっていただろう。ヒロインは歩けない足で追いかけたのだろうか。それともケイリー・グラントは離れがたく中々部屋からでることも、旅に出ることすらできなかったろうか。ついいろいろと想像してしまう。
オープニングの夢見るような歌声。船の階段でのキスシーン。隠れて話すために階段をぐるぐる回るケイリー・グラント。形見のケープを纏い、まるで美しい花嫁のようなデボラ・カー。甘くコミカルで凛とした素敵な恋物語でした。
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