[コメント] 夜明け告げるルーのうた(2017/日)
気ままな天才 いつも湯浅流 (週刊プロレス445号(1991/7/30)表紙コピーを改変)
当該の週プロの表紙は武藤敬司で、コピーは「G1クライマックス両国の夏 気ままな天才 いつも武藤流」だった。オレが湯浅政明監督作品を観るたびに感じる微妙な感覚は、新日時代の武藤敬司のプロレスを見ていた時の微妙な感覚とほぼ同じだ。
明白に才能はある。露骨につまらないものは決して作らない。作品のポイントを押さえれば、あとはセンスに任せて天衣無縫に遊ぶ。サマにはなってる。そのセンスにハマり、耽溺する客も結構な割合でいる。
しかしオレにとっては、大いに不満のある監督だ。ハナから実力が高いゆえに、実力以上の何かを作品にブチ込むことがない。個性よりも器用さが上回っておりどこか散漫で、パンチが重くない。血を吐くような本音を、ついぞ聞いたことがない。この映画はまさにそれで、ところどころにセンスは光るものの軽量級。好みの問題なんだけど、湯浅監督は映画より、センス全開であざやかに逃げきれるテレビアニメに向いていると思うのだ。
まあ武藤敬司も新日を出てからは苦労続き、頭はツルッ禿になり体も動かなくなったあたりで生来の軽さが抜け、どこか凄惨な色気を身にまとうようになったものだ。湯浅監督はいったい今後どうなっていくのか。ある程度の距離をとって見守っていきたいと、わたくし斯様に思う次第であります。
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