[コメント] 女は二度決断する(2017/独)
映画を見終った人むけのレビューです。
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特に難しい映画ではなく、むしろエンタメ十分な映画ですな。社会的な背景をかなり含んではいるが、特に問題提起しているわけでもなく、普通は気づかないものの、巻き込まれると魑魅魍魎の様相を見せるこの現実こそが我々が生きているリアルな現代なんだと言っています。
でも見終わっていると、あんな阿呆な弁護士に依頼したせいで負けた、という事実に気づかない女がこの映画の主人公なんですな。そう、彼女はこの映画の主人公ではあるけれど、そこらのどこにでもいる市井の人間なのである。
でも、いくらヨーロッパがシェンゲン協定で自由だといえ、ドイツ警察が捜査をさぼっても、ギリシャ警察は重要な犯人のアリバイをホテルの宿帳だけで信じるものだろうかとか、普通の女性があんな釘爆弾をいとも簡単に製作できるのだろうか、という疑問は呈するものの、それはこの映画では特に引き算にはならないのを僕らは知っている。でも変ですね。
自分の子供が海水浴で「ママも来てよ」というビデオを見て、その通りに行動するこの主人公の女性はやはりどこにでもいる普通の女なのだ。だからこそ観客の気持と即同一化する。そしてだからこそあのラストはある意味爽快でもあるのだ。
そう、この映画は最初から最後まで完全エンタメです。だから見終わった後も特に何も残らない。あれほど政治的、経済的背景を映画として散りばめながら、特に残滓としても何も残らない。スカッとした終わりはこの映画の求めるべく帰結の姿なのであるから、、。
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