[コメント] ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017/スウェーデン=独=仏=デンマーク)
堂々と“モノを乞う”者たちを無感情に描き、その“卑屈”を軽蔑しながらも、彼らとの間に引いた線の外側から、手を差し伸べることに誠意を見出す卑屈。「それを言っちゃお終いよ」を承知で、観客を蚊帳の外に放置する確信犯映画。この意地悪さは反則ぎりぎり。
自分は非道な人間だと思っている人はなかなかいないわけで、じゃあ後ろめたいことは何もないのかといわれると、そんなこともないわけで・・・。
通奏低音として“助けて!”という叫びを臭わせておきながらリューベン・オストルンドはそれには応えようとはぜず、ひたすら個人(主人公)の誠意の限界や世間(無名化した個人の塊)の冷徹さを醜態としてさらけ出し観客を挑発し続ける。「モンキー・マン」のシークエンスなど、物語映画としての脈略や論理を逸脱してしまっている。
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