[コメント] キャット・ピープル(1981/米)
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『キャットピープル』(1942)のリメイク作品(現時点ではオリジナルは未見)。
総じてさして評価は高くない作品なのだが、私にとって偏愛度はかなり高い(私自身かなりのネコ好きだと言うのも理由だろうが)。
確かにストーリーが鈍重で観ていて退屈する部分はあるが、雰囲気が凄く好みだったし、なんと言っても本作はキャラクターがものすごく良い。野性的な風貌を持つ(はっきり言ってしまえばネコっぽい)ナスターシャ=キンスキーを主演にしたのは大正解。兄のポール役のマクダウェルもべたーっとした不気味さを良く表していていた。
それにこの作品、背徳感に溢れた雰囲気が良いんだよ。近親相姦を扱ってもいる事も一つだけど、一旦男と寝てしまうと、その男を食い殺さねば、再び人間に戻ることが出来ない。その究極の選択を強いられる時の、背徳感と絶望を感じる演出。それでも寂しさのあまりオリバー(ハード)とベッドインしたときの、吹っ切れた彼女の表情。なんだかその雰囲気に飲まれ、涙が出そうになった。
その後の変身シーンも凄い。通常この手の作品だと最近はモーフィングで人間から動物へと過程を追って変化するのが好まれるが、本作の場合、人間の皮膚を突き破って身体の中から黒豹が現れる。皮膚が割れるとき、本当に痛そう。ここでも雰囲気に飲まれてたので、分かるはずのない黒豹の表情のなかに悲しみまで見てしまった。
それで結局人間に戻ることを放棄してしまい、動物園で豹の姿のままうずくまるアリーナと、それを見つめるポール…なんだかこれにも背徳的な演出でドキドキした(何てったって、人間と豹の間の愛情の演出だよ)。ラストのデヴィッド=ボウイのけだるい歌も上手くはまっていたと思うし。
でも、やっぱキンスキーの雰囲気に尽きるな。この作品は。
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