[コメント] 凱里ブルース(2015/中国)
旅の話だ。行き先は男(チェン・ヨンチョン)のなかに堆積し、関係性があいまになってしまった、かつては確かに「存在していた」はずなものと、いつの間にか「失っていた」ものの断片が織りす混沌。すなわち残された男の時間のなかで足踏みを続ける“今”のなかだ。
40分を超えるという驚異的ロングテイク。バイクやトラック、小舟を駆使した視点の移動は、地上すれすれの中空を飛翔する“霊魂”の目のようだ。現実の距離と時間という空間を使って、脳内の記憶と時の流れの関係をあぶり出す試み。これは映像の力を信じたビー・ガンという作家による、多次元の視覚化だ。
はたして男は、目前から姿を消してしまったものを本当に「見た」のだろうか。
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