[コメント] モアナ 南海の歓喜(1980/米)
心やすらぐ鳥のさえずり、虫の声、波のざわめき、風にそよぐ葉音。西欧にはない打楽器音とプリミティブな現地語の歌唱(心地よい男性ハーモニー!)が昂揚感をあおる。この映画、学術的な価値は高かったのかもしれないが、確かにサウンドがないとかなり退屈だろう。
そのなかにあって、モアナ青年と婚約者フォアンガセが他者や背景を退けて画面を占拠したとき、俗な言い方だが二人が発する“幸福感”が、これでもかというほど伝わってくる。新たな営みを向かえる若者の肉体が発散する生と性のオーラだろうか。
あと印象に残ったのは、ふたり達がヤスを使って岸辺で魚を捕るシーン。水面に揺れる波紋の輝きが筆舌に尽くせないほど美しい。こんな眩い光(自然光の強さのせいだろうか、色を感じる)を放つモノクロ映像を観た記憶がない。
その意味でも50数年を経て、この映画を現代の興行に耐えうる作品として甦らせたモニカ・フラハティの功績は大きいと思います。
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