[コメント] 銃(2018/日)
拳銃と雨がモノクロの画に美しく映えるのは、ともに無彩色で低温性を象徴しているからだろう。だからこそ、生温かい体温の気配をはらんだ血の滴りは、見たこともない鮮烈な「赤」で描かれなければならなかった。生身の温度への無意識の渇望が確かに伝わってきた。
低温のモノクロ画面のなかの青年は、自分の精神の欠損に気づいていない。切れ長の目をした村上虹郎の薄い唇から発せられるハスキーな声の濁りが、さらに画面のなかの温度を奪う。そんな青年の温度に対する無意識の渇望と葛藤が、漠然とした「生身」の破壊衝動と、自閉的高揚として「色」に託され可視化される。この色彩設計は、精神の映像化としてあざとくも成功している。
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