[コメント] 不滅の女(1963/仏=伊=トルコ)
『マリエンバート』が変質狂的な移動撮影の映画だったのに対し、本作は変質狂的な編集の映画
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運命の女に弄ばれるというこの監督が以降繰り返すモチーフなのだが、他と比較して本作が優れているのは、トルコという土地の詳述にあるだろう。トルコについての見識のある映画では全然ないが、モスクや裏通り、墓地の描写に付加されるものは製作者の意図を超えて激しく迫ってくるものがある。
キャメラの面白さは無類。人が手前を通り過ぎると奥にいた人物が消えたり、同じ人物がパンすると別の処に現れたり、印象的な墓石を捉えたショットが同じアングルでそのまま突然夜になったり。カット繋ぎがまた愉しく、路上で椅子に座った人、窓を開けてこちらを監視する人というイメージが繰り返され、また突然の回想ショットが脅迫反復的に繰り返される。
『マリエンバート』が変質狂的な移動撮影の映画だったのに対し、本作は変質狂的な編集の映画だと監督は語っており、大いに納得。編集の技をこれほどアイディア豊富にぶち込んだ作品は無類だろう。ただ、終盤の黒い犬の反復はなぜか通俗、女に続いて男が自動車事故にあう反復という収束もありがちでイージーに流れた。ここでもうひとつ何かあれば大傑作だったのに。
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