シャマラン監督の最新作ですね。『アンブレイカブル』『スプリット』で登場したダン・ケヴィン・イライジャの揃い踏みです。まあそもそも前作に登場していたとはいえ、このメインキャストが揃うとさすがに画になりますね。それだけで見る価値はあります。 とは言え、この作品に限っては前二作品は見ておいた方がいいでしょうね。それぞれのキャラクター像はすでに周知のものとして展開されていくので、今作からって人にはすんなり受け入れられないんじゃないかと思います。自分は前作は見ましたが、それもかなり前の話なので見たことある自分ですら若干頭を整理する時間が必要でした。

そしてようやく本作に関してですが、個人的には最高に面白い作品でしたね。上では冷静に書き始めましたが、正直気分は最高に沸いていましたし。見ていて気持ちがいい作品でした。 前ニ作は個人的にはそんなに評価は高くなかったにも関わらず、この作品でこんなにも熱くなれたのは、間違いなくシャマラン監督のヒーローに対するメッセージのおかげだと思います。

そもそも今このご時世でヒーローって何なんだって話ですよ。当たり前ですが大人になってヒーローになりたいなんて言ってたらそれは白い目で見られるのは当然ですし、何なら小学生くらいの子ですらそんなこと言おうもんなら「あんなの現実にはいないんだよ」とか言わせていじられる対象になると思います。 ヒーローなんていない。本作の彼らのような特殊能力を持った人間などあり得ない。物理的に説明できない。 悲しいかな、それが今の我々人間の一般的意見なのです。 そりゃまあね、科学の力がこれだけ進歩して現実的に可能か不可能かって理論的に考えられるようになって、今までそんな特殊能力をもった人間がいたという前例もほとんどない世界で誰がそんな力を信じるんだって話なんですよね。

でもね、逆に言わせてもらえば人間の科学が地球上の、はたまた宇宙の現象を正確にとらえているかという話なんですわ。どこまで我々人間が理解できているかもわからない。実際は全体からするとほんの数パーセントかもしれないのにも関わらず、人間は知ったような顔して鼻高々で現実的にあり得ない！とか言い捨ててしまう。それってどうなの？って話なんじゃないですかね、本作は。 だいたい今の世の中で当たり前にあるスマホなどの携帯だってそうですよ。なんなら車とか新幹線とかそういうものだっていいです。電話がないから手紙とか文を人に渡していた時代だってあるわけで、車なんかの代わりに馬やら何やらしかなかった時代だってあるわけです。それができる前に誰がそんなこと実現可能って思っていたでしょうか。たぶんその時代に電話や車の実現を口にしていたら笑われるでしょうね。あり得ないって。しかし、そういう時代から進歩してきたから今があるのです。そして、これからがあるのです。人間の頭で想像できることならば実現できる可能性はあるかもしれません。列車事故でも無傷の人がいるかもしれません。多重人格で鉄を曲げたり壁を登ったりできるかもしれません。IQ指数が異常なまでに高い人だっているかもしれません。それなのに、それなのに人間はあり得ないと決めつけようとします。

その超常現象を人間は科学的に説明しようとしますね。自分たちのキャパで物事を捉えようとしたがります。未知のもの、理解できないものを拒絶するのもあると思います。

でもそれってちょっと待てよって、それを通説にしなくたっていいじゃないって、そういうことが言いたいんじゃないですかね、シャマランは。 かく言う自分もそういった否定的な人間です。でも、だからこそシャマランにどつかれた気分です。ヒーローなんてあり得ない。特殊能力を持つ人間なんて存在しない。 本当にそうでしょうか。可能性を信じない人間に進歩はありませんからね。何かきっかけに突然変異があるかもしれませんし、生まれつきの才能があるかもしれません。

だからこの作品は、特にイライジャのヒーロー誕生譚には最高にワクワクさせられました。映画だから自分はあの３人を応援しましたが、たぶん科学者側の人間でしょう。でもそんな科学者をクソつまんねえなって思いましたもんね。やったれ、イライジャ！って。

もう何が言いたいかたぶん伝わらないでしょうし飛躍して拡大解釈はあるかと思いますが、個人的にブッ刺さった作品でした。初めてシャマラン作品最高！！！ってなれた作品です。