[コメント] 半世界(2019/日)
40代、50代の声をきき、父親の享年を超えて親父となった男が慄然とするのは、自分が父親とは似ても似つかないちっぽけな大人になっている事実に向き合うことだ。世界ではなく世間としか向き合ってこなかった自分が、いつしか息子にすら追い抜かれていないかとの恐怖は、あるいは人生の終幕にしか拭えないものなのか。戦慄は稲垣なればこそ倍加する。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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妻の池脇千鶴、そして子役の杉田雷麟の地に足のついた好演に比べ、尚更に稲垣の軽さは危なげだ。そんな彼に揺れ動く主人公というオトナ子供を演じさせた阪本順治の底意地の悪さは如何なものだろうか。冗談ごとではなく、ヒーローは頓死することによってモラトリアムのまがい物から脱し、アラフォーのアイドルから脱する資格を得たようにも見えた。旧SMAPへの残酷な風当たりが、かれらを磨いてゆく日々は続きそうだ。
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