[コメント] 柳生一族の陰謀(1978/日)
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1978年邦画興行成績3位。この年は東映の“時代劇復興路線”と銘打った年で、久々の大時代劇が復活。深作監督も本作および『赤穂城断絶』の監督を担当している。ついでに言えば『宇宙からのメッセージ』(1978)もこの年で、監督にとっても最も売れた、多忙な年となっている。
『宇宙からのメッセージ』は時代劇をベースにした和製スペースオペラだったが、それも本作あってこそ。ここでのキャスティングが見事に引き継がれており、特に成田三樹夫は本作で白塗りの公家役。『宇宙からのメッセージ』では銀塗りの銀河皇帝と、ほとんど同じ役を演じているのが興味深い…というか両方観るとつい笑ってしまう。
痛快時代劇と銘打ってはいるが、本作の物語はかなり硬質で、タイトル通り柳生一族の陰謀が主軸で徳川家の跡目争いをコントロールしようとするのだが、その結果が強烈。結局死屍累々の果てに、全てが無くなってしまったというオチも強烈。その分途中、誰が敵か味方か分からなくなってしまう所があって、味方と思っていたら、そいつのせいで殺されてしまった。なんて描写も多い。注意して観てないと話しについて行けなくなってしまう。
キャラもこれだけの数を出して、ちゃんとコントロールしているのも凄いけど、やはり多すぎて、観てる側が把握しきれなかったり。ごちゃごちゃしすぎかな?
ところで、あのオチだが、あの「夢でござる〜〜!」は呆気にとられた。まさか歴史自体をここまで大幅に改竄するか?ラストは口あんぐり。って感じ(実際は徳川秀忠の死が毒殺って事自体がおかしいんだけどね。秀忠は家光に跡目を譲ってからも10年くらい生き続けて、院政のようなものを敷いていた訳だから)。しかしこれこそが後の邦画の行くべき道を暗示していたのかもしれない。一種画期的な作品だったとも言えるんじゃないかな?
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