[コメント] 殴られる彼奴(1924/米)
チャップリンの隠し味的なペーソスを全面展開してインパクトもの凄い傑作。吉本のハリセンもまた「悪意に満ちた無教養の暇人を喜ばせていた」ものだと思わされる。「人間ってバカね。殴られるピエロで笑うなんて」。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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アカデミーで男爵に研究を横取りされて男爵に殴られ嘲笑され、「嘲笑とは希望を死に至らしめる劇薬である」。ピエロになったロン・チャニーは殴られた回数数えて悦ぶようになる。「悪意に満ちた無教養の暇人を喜ばせていた」と、阿呆のような観客にアカデミーの嘲笑をWらせるのだった。客席でよく笑うデブがひどい。サウンド版で笑い声は音声で入る。
ずっとピエロの舞台は実演されず引っ張った挙句に披露されるのだが、これが凄い。大量のピエロ、登場した途端に竹馬倒され、「地球は平らだったと証明したぞ」と研究成果を云って殴られる繰り返し。行進するピエロに順々に殴られ続ける。死亡して舞台に投げ出され、藁の花束が詰まれ、担架の底が抜ける。舞台の客電が落ちてピエロの顔にだけピンスポが当たり、それが絞られて真っ暗になるショットが素晴らしい。
伯爵の娘がピエロの告白を冗談と解してしまう件は痛々しい。OPのMGMで吠えなかったライオンは劇中檻から出されて吠えまくる。「世界は愛に包まれる」というピエロの言葉は「あいつの最新ジョークだぜ」とウケまくる。これがウケる世の中なのだ。河原者はエログロナンセンスを提供して喰っている。大量にピエロが並ぶ地球儀のギミックも素晴らしい。最後はロン・チャニーを投下して葬り去るのだった。撮影美術ともに素晴らしい。
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