また、村の環境や文化面も興味深く描かれる。まずは、水の利権をめぐる争い、という西部劇的な基本設定。なので水を運ぶタンクトラックが必要になる。サイネージ車とＤＪ。麻薬なのだろうか小さな経口薬。村には娼館も歴史博物館もある。そして市長トニー・ジュニアの登場。彼もサイネージ宣伝カーに乗っている。

　牧場の馬の群れが村に入って来る場面、あるいは続く二台のバイクが村を訪れるあたりからスイッチが切り替わり活劇に傾斜する。ライダー２人が、村の店で普通に飲み物を注文するシーンなんかもドキドキする。そして、唐突なウド・キアの登場がいい。襲撃者の集団も、一人一人のキャラクターや背景が、短い時間ながら印象的に描かれている点も良い部分だろう。

　ラストの襲撃シーンは案外あっけない幕切れに感じた。西部劇ファンとしては、もう少し、銃撃戦とか、あるいは決闘とかを期待していたのだ。クライマックスとしては緒戦と云っていい、素っ裸でフルチンの爺さんの場面が、一番良かった。それに、キアも含めて、純粋に快楽殺人が目的、という描き方の方が狂気的だったと思う。