[コメント] 聖なる犯罪者(2019/ポーランド=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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もちろん「制服マジック」みたいなものは大きいと思います。法衣に袖を通すだけで、司祭の風格を漂わせる。それだけで町の人々の信頼を集めたわけではないと思う。
実在の出来事をモデルにしているということで、そちらはどんな人だったのかは判らない。しかしこの主人公の俳優は、見事に体現していると思う。
この映画を見て、最初に思い出したのは、鶴瓶主演の『ディア・ドクター』。それと『獄門島』。「獄門島」をなんで思い出したかというと、小さい島の「顔役」として「僧侶・医師・村長」が登場する。この三つの実力者には、みな頭が上がらない。「ディア・ドクター」では医師、そしてこの映画では司祭。いかに小さい街に影響を与えているのかがよく判る。
このダニエル、最初に教会を訪れた時、普通にミサを受けていたらどうだったのか?最初から製材所に行かず、教会に行ったから、司祭を名乗るつもりで立襟の祭服を用意していたのだろうか?しかし「代わりに司祭を務めて」といわれて、慌てて逃げ出そうとしていた。「ちょっと真似事がしたかった」ぐらいの気持ちだったのだろうか?
なぜダニエルは「7人目」にそんなにこだわったのだろうか。そこははっきりとは判らなかった。しかしこれも顔役の「町長(権力者)」に真っ向から挑む。町長にしても「今更町に波風を起こしたくない」という、町長としての責任もあっただろう。しかしダニエルの「聖職者としての」強い想いが、人々を突き動かした。ある意味、この町に司祭として「根付いた」のだろう。
しかしダニエルの「欺瞞」を「神は許さなかった」。製材所で少年院の仲間と鉢合わせする。そこで彼は強請られる。その次に寄付金を集めるシーンがあったので、まさか?と思ったら、7人目の葬儀の費用だという。脅しに乗らなかったが、その結果、本物の司祭にバレてしまう。
最後、祭服を脱ぎ捨て、教会を去る時に「神のご加護を」と声をかける場面でジーンときてしまった。
この映画、「R18+」だというので、暴力的なのか、濃厚な性描写があるのかと思ったが、「それだけ?」の印象。ゑぎさんの言うとおり、ちょっと首をかしげる。「R15+」ぐらいでもいいのではと思うが。
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