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[コメント] くれなずめ(2021/日)

藤原季節が重要な役を担っていることもあり、『佐々木、イン、マイマイン』がずっと去来する。成田凌が、前田敦子に告白し、「幸せになれよ!」と言って一つの収束かと思われたのに、やゝあって彼女が戻ってくる。こゝいい。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 5人に担がれ、持ち上げられて、夕陽にかざされ、皆で夕陽を見る。このあたりの照明には感心する。桜の花びらはCGだろうか。

 人の畑を掘り始めるところから、いきなり転調して漫画のような展開になる。変なカバンが喋る。皆で、余興の「それが答えだ!」を踊るが、途中で2次会会場の場面になる。ちなみに、この余興を見ると、これなら、引かれるかもしれないけど、すべることはないだろう、と思わせるものだ(最後に前田が、下手くそ!と言う)。この2次会の映像を含めて、集団妄想か?と云うのは冗談だが、全編が作り手の妄想のような映画だと思うしかない。このシーンが開けた、夕景の雲をバックにしたロングショットは美しい。

 しかし、5年前の夜の路上を、もう一度やり直すのは、どうだろうか。本作の感傷過多の部分は、ぶっ飛んだ妄想的シチュエーションとのバランスも、宜しくないと私は感じた。だいたい、夜行バスが事故ってしまうんじゃないかと思って見ていたが、そうでもなく(半年後らしいし)、スーパーのカート置き場で泣き崩れる浜野謙太や、飲み屋で先輩の近藤芳正たちに、食ってかかる若葉竜也のシーンも含めてやり過ぎに思えたのだ。こんな感傷を描かないで、5年前の夜の路上の再演もせずに、皆が成田の存在を受け入れる、6人で普通に2次会に行き、余興をやる、という展開の方が良かったのではないか(というか私の好み)。

 結局、秋山恵二郎による夕陽の照明の説得力が、抜きん出ていると思った。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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