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[コメント] 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2020/日)

原作者富野のゲルマン系美少女への渇仰はここにおいて神格化の域に達した。「ダサい」ゆえにワタシの愛する安彦良和の安堵をもたらす「漫画化」の洗礼を受けない、耽美のキャラデザは不穏な空気を産み、ニュータイプ幻想の底を洗ってみせる。
水那岐

ギギ・アンダルシアという男の心をザワつかせ、女のジェラシーを刺激してやまないという(サイトにそんな子だと書いてあった)美少女は、どうせ次回あたりでニュータイプの本性を剥き出しにするのだろうが、今のところは限りないフェロモン散布とフワちゃんのように大人を小馬鹿にする言動で映画をかき回している。この娘の登場で、むしろ富野監督作品では確実にカムフラージュされていた監督のスケベ根性が際立って世間に開陳されることとなった。

結局富野にとって、この宇宙世紀シリーズのコアはゲルマン系の彫りの深い美貌の宇宙人種、「ニュータイプ」なのだろう。ファーストシリーズのスタッフであった山本優らの強い進言が通ることにならねば、当時は革命的であったインド人ヒロイン「ララァ・スン」がガンダム史の重要なファクターになることはなかったろう。そりゃそうだ、あの人がアジア人に寝返るハズもない。自らの運命を作り変えたミストレスたる白人美女にじゃれつく、家畜人ヤプーのごとき富野の2次元のパラダイスは、人間としてはカンがいいだけだが誰もが羨む美貌をもつ人種に支配された妄想世界だったのだ。

まあ、それは趣味の領域でしかないのだろうが、ここに別人・村瀬修功 によって提出された富野のカルテは、富野がこの病気をこじらせ、ロボレスポルノ映画ではないラヴ・ファンタジーとして『閃光のハサウェイ』の物語を構築するに至った経路を示している。

いやあ、僕、そういうやり方って好きじゃありません(富野話法)。こういう作劇をオシャレと呼んではいけないコトも学びました。でも、今の日本にリアルロボを大人心で見られる作品を作れる人間が、彼くらいしかいないことも(暴言?)。だから、このシリーズは完結まで観ることになるのに変わりはありません。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ロープブレーク[*]

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