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[コメント] クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2020/米)

町の俯瞰。機能している信号機。本作のアバンタイトルは第一日、事の起こりの情景だ。薬局。スペースシャトルの玩具。聾者リーガン、ミリセント・シモンズは、このプロローグで、ダイブの手話をキリアン・マーフィに教える。空には飛来物。
ゑぎ

 さて、まず特筆すべきは、随所にある良く出来たマッチカット演出だと思う。そもそも、第1日から、473日目(前作のラスト)への繋ぎが、恐怖に叫ぶ息子マーカス、ノア・ジュープのアップカットだ(赤ちゃんも泣き叫んでいる)。しかし、私が唸ったのは、特に中盤の、3つの場面のクロスカッティングだ。3つとは、エミリー・ブラントが薬局へ調達に行き帰って来る場面、娘リーガンとキリアン・マーフィとの場面、息子マーカスと赤ちゃんの場面、の三場面を指している。こゝが、水と炎、あるいは酸欠状態といった状況を、三場面で交錯させるマッチカットなのだ。あと、エンディングのクロスカッティングの畳みかけも素晴らしい。エンディングは、リーガンとマーカスの相似の運動のマッチカットだ。

 また、世界観が小さいのは前作同様だが、例えば列車の廃墟やヨットハーバーや島の情景のスケール感(見せ方)も貧弱だし、各地点の距離感(スモールワールド)も気にはなってしまうが、こういう部分はスルーすべきなのだろう。ショッカー、スリラーとしては、前作を超える面白さだと思う。

 尚、はだしの足を痛めつける、という演出も、前作を超える凄惨さだろう。最後に、子供たちの暴力行為の肯定は、若干気持ちがざわつくが、これが映画の誠実さだと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ドド[*] けにろん[*]

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