[コメント] パーフェクト・ケア(2020/米)
このようなスローモーションの使い方は、勿体ぶってて嫌い。その顕著なのが、ダイアン・ウィーストが老人ホームへ入れられるシーンのスローモーションだ。他にも、パイクがエアロバイクに乗るジムのカットなど。まあこれは好き嫌いの問題かもしれない。
ただし、この映画には、観客を困らせてしまう構造的問題がある(ま、そんな大げさな問題でもないが)。最初は、ウィーストとその息子−ピーター・ディンクレイジを応援したくなるように話が進むのだが、その内、パイクチームもやっつけられて欲しくない、と思わせられる、という、どっちを応援していいか分からなくなる、モヤモヤ問題だ。私の場合、パイクチームも応援したくなった大きな要因が、パイクのパートナー、フランを演じるエイサ・ゴンザレスが可愛いし可哀想だから、というものだが、本作でもとても魅力的なのだ。もうそろそろ、ゴンザレスには主役を張って欲しいと思いました。
ただし、後半のパイクの強心臓と強靭な肉体が導く、出来すぎの反撃パートは素直に楽しかったし、歯医者で歯を入れるシーンの俯瞰カットなんて大好き。それに、ピーター・ディンクレイジって、今までいろいろ見てきたが、こんないい役者だと思っていなかった。この人も主役を張って欲しい。つり輪も得意だし。
あと、ウィーストに、もうワンシーン、ラスト近くにパイクと対峙する、見せ場を作るべきじゃないか、と思った。さらに、エンディングも、ありきたりな作劇と感じる。もっとふてぶてしく終わるべきと思う。そっちの方が私の好み。
#パイクがウィーストの家を訪問した時、流れているのはドビュッシーの「夢」。
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