[コメント] 三度目の、正直(2021/日)
刈り込まれたリアルな台詞で現状(設定)を説明する前半は、ワークショップ参加者が演じる決して上手とは言えない"お芝居"にどう付き合えば良いのか戸惑うが、これは観る側の主体性が問われているのだと思い至ると、物語とどう関わるか模索している自分に気づく。
そして台詞ではなく状況(すなわち映像)が物語を牽引しはじめる中盤以降、俄然面白くなってくる。立ち現れる登場人物たちの意志と無意識の境界の曖昧さや、そこから生じる日常のなかの異常は実にスリリング。ラッパー毅(小林勝行)とその妻の美香子(出村弘美)が交わす、嚙み合っているようで180度反転してしまっている車中の会話など、現実のなかのホラーとでも称する非現実感を漂わせ、そら恐ろしい。
非凡な演出家の誕生を予感をさせる野原位の監督デビュー作でした。
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