[コメント] 英雄の証明(2021/イラン=仏)
つい見てしまうイランの巨匠と呼ばれるファルハディ作品。今回は随分と通俗的な事象をテーマに、人間の行動の闇を探っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
いつも思うのだが、彼の作品はイヤミス系がたっぷりで、切取り部分にそれほど意図的テーマを持たず、人間の卑近な営みをこれでもかと描いている。とても映画作りがうまく、観客は気づくともう彼のペースにはまって映像を眺めていることに気づく。いわゆる映画の魔術師である。
それでも今回は刑務所から2日間の休暇をもらい娑婆に出てきた男の物語である。彼は何としても刑務所に戻りたくないのである。そんな彼に社会一般の津波が押し寄せては消え、さらに押し寄せる。映画は、一人の男のあがきを見せつけて、結局は元の木阿弥に戻るところで終わっている。
ラストの映像、日常と非日常との映像対比の見事さ。日差しは娑婆の方が随分と多い。見事なラスト映像である。けれど、ファルハディは余裕がありすぎると思う。スクリーンの奥から彼のニタリ顔が見えるようだ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。