[コメント] ストレンジャー(1946/米)
影を見ているだけでまったく飽きることがない。影こそが映画だというウェルズの確信が窺える。
次第に俯瞰から仰角へと移行してゆく森での長回しは『黒い罠』の冒頭の長回しのような無茶苦茶な映画的興奮こそないものの、演技者としてのウェルズの技巧を存分に堪能できる。それにしても、ウェルズの俯瞰には魔力が宿っているとしか思えない。俯瞰であるほかは何の変哲もないはずのショットでもぞくぞくして仕方がない。
映画を撮る機会に存分に恵まれさえしていれば、ウェルズはヒッチコックに対抗しうるサスペンス・マスターにもなれただろう(ヒッチコックだってお話に関しては結構いいかげんだし)。まあ、ウェルズがヒッチコックとは別の意味でじゅうぶんに凄い&偉い人だってことは云うまでもないですけどね。
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