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[コメント] レッド・ロケット(2021/米)

正直すぎるお調子者どもを、ショーン・ベイカーは見捨てない。その視点はカメラワークと同じ、斬新ですがすがしくもある。
jollyjoker

オープニングで、眠っているマイキーの腕や顔にはアザがある。手ぶらである。徒歩である。しかも追い立てられるような速足。煙突しかない低層の町に舞い戻ったマイキーが訪ねるのはペンキのはがれたボロ家。こいつが怪しくないワケがない。

監督、上手い。

徐々に明かされる登場人物の背景とカラフルな背景のミスマッチ。安易な思い付きは上手くいくわけないのだけれどその「這い上がろう」とする姿におかしみと悲しみが現れる。

ショーン・ベイカーはさびれた田舎町の日常を切り取る一方、マイキーの珍入で夢の続きを見そうになる面々を追う。忘れられた人、脇に追いやられた人、でも強い人。大多数のそういう人たちの暮らしを切り取ってダメでもいいじゃん!と思わせてくれる。

それにしてもアメリカの直球の欲望とあっけらかんとした「なんとかなるさ根性」には脱帽だ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] ぽんしゅう[*]

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