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[コメント] アフリカン・カンフー・ナチス(2020/独=日)

すばらしい闇鍋映画。笑うべきかどうか少しだけ迷ったが、すぐ笑うことに決めた。人類の敵は悪意をもって嗤ってやらねばなるまい。公式サイトと東條役秋元義人氏のサイトも必見。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ゲーリング登場と白塗り、抱腹絶倒のタイトル表示までの開幕数分で既に三回以上吹き出した。カツアゲと道場破りまでは傑作。ブラックで一番笑ったセリフは「ソ連は無理だがガーナは征服できる」。みみっちい傲慢さ。

主題曲は使い過ぎで飽きてしまうがこれも面白い。以降も、振り返ればありがちな展開ながら(多分オマージュ要素が多いのだろう。私には酔拳しかわからない)、予想外のところで不意に笑わせてくるし、風刺もきちんと効いていて、大会の演出が若干ダレこそすれど、只々考えなしのバカ映画とは思えない。格闘技映画には詳しくない(今まで観た最高の格闘技映画は『ザ・レイド』くらいのレベル)のだが、少なくとも私には本格的に見える体術描写もあり、何だこれは、という驚き。しかし、ゲッベルスをシバいて欲しかった、という個人的な思いが強い、、、ヒトラーとの体術でのタイマンがないのもどうかと思うが、爆死の呆気なさで笑ってしまったので忘れることにした。

優生思想が、嗤うべき幻想・捏造に過ぎないと喝破する白塗りシーンのチープさ、簡潔さが素晴らしい。何で武術大会なのかと腑に落ちなかったが、蓋を開けてみれば異人種間のデスマッチで、「ダメ人種」を淘汰する優生学に基づく輩ならいかにもやりそうなことであり、同じ影蛇拳の門下生同士の策謀マッチングにも説得力がある。史上の東條は評価が分かれるところのようで、私に適切に評価する見識はない。関西弁の字幕は、このために笑ったシーンもあるが、好悪分かれるだろう。

東條役の秋元氏は便利屋さんなのだそうで、その一環で俳優出演しているのだとか。敬虔なクリスチャンだが普段は町田の酒場で暴れていると公式で説明されている。ゲーリングは予算不足であのキャストらしいのだが、これもいい皮肉に繋がっている気がする。インドでボリウッドにあたる形で、ガーナ(その主要都市クマシ)には通称クマウッドなるものがあるそうで、そこの悪役の常連さんであり、街を歩くと「殺人鬼だ!」と皆逃げ出すのだが、本当はワガママながらナイスガイらしい。主人公アデーと同門のアカンテ役はミュージシャンにしてあの身体捌きであり、監督のプロフィールについては何度読んでも意味が分からない。法螺に思えるが多分本当なんだろう。幕裏からして大変面白いので、是非公式サイト(および秋元氏サイト)を訪れていただきたい。ちなみに続編制作のクラウドファンディングが立ち上がっているらしい。ゲッベルス登場熱烈希望。

私はこれをアマプラで電車の中で見始めたが、吹き出してしまい、これは危ないかもしれないと思い、帰宅まで我慢することにした。何故危ないと思ったのかは、寒山さんと同じ感想に基づきます。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

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