「若返り」のプールに入ろうとしない、また妻のローズもプールに入れさせないバーニーを臆病とか頑固者とかいうのはたやすい。

しかし、ローズが息を引き取った時、彼女を何とか蘇生させようとプールに抱えていくということも彼はしている。バーニーはプールの効用を疑っていたわけではなく、自ら進んで遠ざかっていたのだ。

一方で、プールのおかげで若さを取り戻したジョーが、ディスコやボウリングで羽目を外しまくったあげくに若い女性と浮気をし、妻に愛想を尽かされるに至って、我々はようやくジョーの方が子どもだったことを知る（彼の口癖が「人生は冒険だ」であったというのも何をか言わんやだ）。

つまり、一番老練であったのはバーニーだというべきであろう。彼が最後に残ったのも納得できる話だ。

結局のところ、地球を離れて永遠の生命を得るのと、地球にとどまるのと、果たしてどちらが賢明な選択だったのか、それは人それぞれだ。しかし個人的には、アートやベン、ジョーたちに付和雷同して（と思われる）宇宙に出て行った老人たちよりも、自分自身の信念を貫いたバーニーの方が、彼の最初のイメージとのギャップもあって、私にはずっしり重い印象を残した。