[コメント] 違国日記(2024/日)
けっして完璧な映画ではなく欠落もたくさんあるように思えるが、それでも愛おしい。人と人との繋がりの深いところを丁寧に描こうとしているし、新垣結衣も誠実に演じていることが伝わる。
原作は読んでいないので、どこまでが脚本も兼ねている瀬田なつきの創作なのかはわからないが、印象的な好いセリフが多い。
「大人の友達同志って初めてかも」「これって黒歴史⁈私の黒歴史始まってる⁈」なんて可愛らしいし、「知らない匂いがする」「大人って急になるものじゃないから、意外と簡単じゃないんだよ」などハッとさせられるのもある。そして、「マキオちゃんはどうして小説を書いているの?」「アサと私の関係は何?」肝心な問いかけには答えが返されない。
目の前で両親が突然生命を奪われるという悲劇的な体験をしていながら、アサがあまりに屈託がないことに最初は違和感を感じたのだが、様々な葛藤に傷つきそうになりながら乗り越えていく姿を眺めているうちに、身近な世界を生きながら自我を形成していこうとしている年頃のリアルって案外こんな感じなのかもしれないと思えてきた。
リアルといえば、姉を憎む理由、他人から見れば小さなことのように思えても本人は深く傷つき乗り越えられない、肉親であればなおさら。このリアルさが人間くさい。
アサの学校の友人たちのキャラが多彩で、このまま連ドラになりそう。自分も、アサがエミリの告白を聴く体育館のシーンの空間と光の使い方は神懸かっている。
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