[コメント] ぼくのお日さま(2023/日)
ドビュッシーの「月の光」と、池松壮亮お気に入りのゾンビーズに落差があって面白い。そして、そのゾンビーズの”Goin' Out Of My Head”が流れる中、3人で戯れる池の氷上のシーンは多幸感に溢れている。
雪国の街に初雪が舞い始めてから、雪が解けて再び緑に陽光が降り注ぐ季節になるまでを切り取った、甘酸っぱくてどこか懐かしいお話。
中西希亜良の瑞々しさ。越山恵達に「合わせてみる?」と声をかけて2人でルーティンを滑り切るシーンの美しさにはドキドキしてしまう。
その中西の心変わりが物語に転調をもたらすのだが、そのあたりはやや謎めいている。幾つかのシーンから、彼女が池松に好意を抱いていることは窺えるのだが、だとすると、あの3人での楽しげな様子はなんだったのだとも思える。まあでも、ラストカットでの表情を含めて、乙女心の神秘を垣間見たようで,これはこれで悪くない。
ローカルなスケート場の佇まいが趣深い。外は雪深くても、柔らかい光が射し込む。越山が、練習する中西に目を奪われるあたりは『リトル・ダンサー』を思い出させる。
池松がカセットテープで音楽を聴いていたり、持ってる携帯がガラケーだったりするところからして、2000年代初頭くらいの時代設定だろうか。DEIの視点での意図も感じられる。
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