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[コメント] 神田川淫乱戦争(1983/日)

全員怪演。ヘンな映画を目指してヘンな映画に仕上がっているのだから若々しくも小癪であるが、とは云い条まるで意味不明な岸野雄一のクラリネット踊りなど強烈な不意打ちは数多い。また「空間が物語を規定し、映画を生成する」という確信が剥き出しのまま作品の核を成している。リズミックな台詞もいい。
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 「打倒! 現役」などという文言とともに、浪人生・岸野の部屋の壁は数々の映画作品の原題で埋め尽くされています。判読可能だった範囲に限りますが、試みにそれらの作品群を邦題に直し、監督別にまとめてみました。

ジョン・フォード:『月の出の脱走』『騎兵隊』『バファロー大隊』『周遊する蒸気船』『駅馬車』『モホークの太鼓』『黄色いリボン』『幌馬車』『リオ・グランデの砦』『This Is Korea!』『モガンボ』『捜索者』『馬上の二人』『ドノバン珊瑚礁』『シャイアン』『荒野の女たち

ジャン=リュック・ゴダール:『恋人のいる時間』『アルファヴィル』『モンパルナスとルヴァロワ』(オムニバス『パリところどころ』)『男性・女性』『メイド・イン・USA』『シャルロットとジュール』『勝手にしやがれ』『小さな兵隊』『女は女である』『怠惰の罪』(オムニバス『新・七つの大罪』)『カラビニエ』『立派な詐欺師』『軽蔑』『はなればなれに

ハワード・ホークス:『バーバリー・コースト』『無限の青空』『永遠の戦場』『赤ちゃん教育』『暗黒街の顔役』『光に叛く者』『群衆の喚呼』『虎鮫』『今日限りの命』『暁の偵察

アルフレッド・ヒッチコック:『第十七番』『めまい』『マーニー』『トパーズ

リチャード・フライシャー:『マジェスティック』『ラスト・ラン 殺しの一匹狼』『ザ・ファミリー

フリッツ・ラング:『死刑執行人もまた死す』『飾窓の女

ドン・シーゲル:『殺し屋ネルスン』『第十一号監房の暴動

その他:『ビッグ・バッド・ママ』(スティーヴ・カーヴァー) 『暗黒への転落』(ニコラス・レイ) 『歴史は女で作られる』(マックス・オフュルス) 『イントレランス』(D・W・グリフィス) 『黄金時代』(ルイス・ブニュエル) 『恋多き女』(ジャン・ルノワール) 『決闘コマンチ砦』(バッド・ベティカー) 『大雷雨』(ラオール・ウォルシュ) 『殺しのダンディー』(アンソニー・マン

 『勝手に受かれ』『浪人生は何を忘れたか』『浪人の味』といったもじりや、文字が小さすぎるなどして判読できなかった作品も多くありました。また渡河作戦を図示する紙には『赤い河』(ホークス)と『攻撃』『地獄へ10秒』『キッスで殺せ』(ロバート・アルドリッチ)が書かれています。これらの「趣味」を鑑みれば、エンディング・クレジットを声で読み上げるのは(『華氏451』ではなく)『軽蔑』あたりが由来でしょうか。

 以上、当初に覚悟したよりも八倍は無益な作業でした……。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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