[コメント] 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は(2024/日)
大九明子作品はユニークで楽しく観てきたのですが、毎回演出過剰なパートがあってそこは苦手でした。今回は互いに傷つけあう大学生の不器用な恋愛模様が描かれる訳ですが、監督の手による脚本はかなり勢い込んで脚色されているようで情報の多さに正直疲れました。
ときに大きく、ときに細かく往還する時制、いつのまにか変化する画面サイズ、気ままに挿入されるスーパー(タイトル)インポーズ、意表を突くズーム。小西(萩原利久)、花(河合優実)、さっちゃん(伊東蒼)、山根(黒崎煌代)、マスター(安濟肇)、お父さん(浅香航大)ら登場人物のキャラの多彩さと背負う役割の重さ。さらに、日傘、だんご頭、目尻の皺、ひとり蕎麦、ヘッドホン、奇抜な服装、オムライス、ギター、白犬といった彼ら彼女らに付与される記号的アイテム。それから教室までの裏道、キャンパスを見下ろす丘、遅刻坂、商店街、銭湯といったロケーション。あと、関西弁、標準語、奇妙な方言、テレビの音量、口にできない「好き」と「幸せ」、圧巻の三者三様の長口上といった音声情報。おまけに大学(関西大学)初の女子学生と武器輸出反対デモも織り交ぜジェンダーとピースへの目くばせも。おっと、肝心の作品コンセプトを書き忘れるところでした「セレンディピティー」!!
いくら何でも盛り込みすぎでは。私の頭では処理しきれません。最後の20分は“分かった分かった、もういいよ”の感あり。長い長い2時間15分でした。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。