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[コメント] JM(1995/米)

ジョニーの脳内容量は80G…今で言えば1万円台で買える程度か…
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 不思議とキアヌ=リーヴスという御仁はCGを用いたSFアクションの主演作が多いのだが(言うまでもなく『マトリックス』とか、『チェーン・リアクション』とか)、SFと彼との相性の良さってのは、多分彼の持つ“得体の知れなさ”の故だろう。状況に流されるばかりであがき続ける、自分を持たない男JMを演らせるにはうってつけの存在だ。だけど、元々大根なのが、この作品ではそれに輪をかけて凄いってのが何とも。そういやデータを取り出すのにパントマイムをするのは『マイノリティ・レポート』でも使われてたなあ。端から見たら相当馬鹿だけど(笑)

 最初っからB級作品を目指して作るんだったらそれで良かったんだろうけど、原作者のウィリアム=ギブソンの脚本とシド=ミードのデザイン、北野武ドルフ=ラングレン…もうここまで揃えてしまった以上、何とかして大作にしなきゃならないって意気込みは分かる。それでもう後に戻れないって言う意識ばかりが空回りしてしまった感じ。わざわざ日本人を出すことでサイバー・パンクっぽさを演出したんだろうけど、結局それは『ブレードランナー』のパクリのようにしか見えなくなってしまった。

 ところで人間の脳を生体コンピュータ、あるいは記憶素子として用いるってのはサイバー・パンク時代には既に考えつかれていた内容(奇しくもギブソンの「ニューロマンサー」がその走りだった)だが、人間の脳内記憶容量ってのはギガで測れるような生易しいものじゃないだろうに。当時はこれでも「大容量」だったんだよな。

 映画におけるSFの通過点的な位置づけにある作品だ。通過点なんだから失敗もあるさ。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ころ阿弥[*] kaki

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