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[コメント] 歌麿をめぐる五人の女(1946/日)

ミゾグチ随一の軽妙な喜劇。官僚の狩野派を小馬鹿にして始まるところに、46年が刻印されてある。撮影が悪いというコメントが多いが、私の観た版は冒頭以外鮮明。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







腰元衆の鯉つかみ(胸を次々と露わにする大胆なパンが凄い)も、籠で若旦那を迎えにやる田中絹代も爆笑もの。何度も振られて泣きながら逃げてゆく大原英子(とても可愛い)も、途中から繰り返しの冗談半分になる。

田中絹代のツンデレ振りがなんとも微笑ましく、この人の女優開眼は訪米後だと聞いていたが、既に無茶苦茶巧い。花魁との対決は水際立っており、最後は反転して泣きで締めるのもいい。見事にテーマが浮かび上がる。「女という女を片っ端から描きまくるんだ」なる歌麿阪東蓑助の決意やよし。誠に芸術とはデーモンに憑りつかれた者のなす業である。

雨戸を閉めて蝋燭を灯させる歌麿の件も、包丁を持ち出す絹代を障子の影で示す件も、惚れ惚れする見事なショット。鯉つかみでは水中撮影まである。46年なのに。この鯉つかみの件、繰り返すが、鈴木則文のおバカ映画を見事に予告している。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ

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