感情全てを目が物語る。簡単に人を殺すアーモンの目が一番澄んでいるのは一体どういう事なんだろう。アウシュビッツでの女性たちの怯えた目も感情に訴えるものがあったし、エキストラがエキストラの枠を超えてる点でもスピルバーグの真剣度合いが伺える。

さて、3時間を超えるにしてはドラマにパンチがなく当時の惨状が淡々と描かれて行く。映画が動き出すのは赤い少女の死体が処理されてく様にシンドラーが唖然とするところからでこの時点で2時間以上が経っている。そーいった意味ではテンポが良くないと思う。しかしユダヤのスピルバーグにとってこれを撮る信念は並大抵ではなくそれが画面一杯に溢れているため、色んな場面が目に焼き付いて離れないのも事実。映画が面白い面白くない関係なく、これはこの人にしか撮れないっていう作品は例外なく価値があり感慨深い。

しかしアレですな、銃の故障で撃ち殺せないシーンだけど。銃がなければ老人一人殺せないってのは、銃そのものの存在を真っ向否定するようでスピルバーグの銃嫌いが伺えますね。彼のほとんどの作品で銃が暴力の象徴として写されている気がします。（特にミュンヘン）