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[コメント] フリック・ストーリー(1975/仏=伊)

殺人鬼ビュイッソン演じるトランティニャンの孤独な眼。 ひたすら煙草をくゆらすドロン。母性の温もりを短い登場場面でかもし出すオージェ。乾いた画像がかえって味わい深い佳品。
フランコ

**ネタバレ注意**
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冷酷無比な殺人鬼ビュイッソンが、エディット・ピアフの「バラ色の人生」の音楽を聴いたときにふと眼に寂しくも懐かしげな温もりを浮かばせる。きっと彼の殺伐とした幼年時代に唯一暖かい記憶をととめる鍵が、ピアフの音楽だったのであろう。それは彼の母親が口ずさんでいた曲だったのかもしれない。ピアフを弾くオージェへの優しい眼差しがそれを語っているようだ。 珍しく死なないドロン。全編喫煙尽くし!張り込み時に部下にバゲットパンを配って歩くシーンが好きだ。上に立つ者は気配りが肝心。ヴィスコンティの「若者のすべて」でドロンの兄役を演じたレナート・サルヴァトーリがビュイッソン一味の一人で登場しているのも懐かしい。

(評価:★5)

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