[コメント] 人間蒸発(1967/日)
今、目のまえで繰り広げられている「現実」や「事実」といったものは、すべて「起こったこと」の「結果」であり、「起こったこと」には、偶然「起きたこと」と意図的に「起こされたこと」の双方が含まれるということ。何のことはない、ただの「日常」と同じ意味だ。
現実の中に持ち込まれた恣意や仕掛けによって生まれる次の展開は、はたして虚構なのかといえば決してそうではなく、たとえ思い込みや妄想を含んでしまったとしても、それはまぎれもなく現実ではあるのだが、ただそうして生み出された「現実」は、撮る者、撮られる者、観る者の制御範囲を容易にすり抜けてしまう、ということが今村昌平の暴挙によりはからずも実証されてしまった傑作。
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