[コメント] ツイスター(1996/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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今では当たり前になってしまいましたが、CGを前面に押し出したSFX映画の中ではわりと初期にあたるのでしょうか。題材の取り方が素晴らしいと思いました。なにしろ実物の竜巻をカメラに収めることは出来ませんので。自然の猛威の前に慄然としながらも、その圧倒的な“力”に魅力を感じてしまうのは、洋の東西を問わず共通なのかもしれません。日本のテレビ局が毎年やってる“台風情報(現場から実況中継)”なんて、みんな結構好きじゃないですか。地震とか火山とかマグマとか、これ以後結構相次ぎましたが、これが一番見応えあったなー。早いモン勝ちといえばそれまでですが。でもやっぱ“最初”はエラいと思います。
意外と見過ごされがちみたいですが、CG以外の普通の(?)特撮部分もなかなか凝っていたように思います。乗用車やトラクターやバスが空中を飛んでくるという、純粋な“ぶったまげた”感ももちろんありますが、細部の描写も秀逸でした。例えば、農業用水路に掛かる木製の橋が飛んでいくシーンなど。木板がガタガタ揺れ始めて、それを留めている釘のようなものが少しづつせり上がっていく様まで描かれていました。で、最後にポーンと上空に飛んでいく爽快感。あれはCGじゃなくて実写だと思いますが、どちらにせよ、竜巻の威力を描くにあたり、マニュアルにこうしろとか書いてあるわけじゃないのですから、こういうディテールへのこだわりは観ていて楽しいですね。(ここでもよく話題になってますが)牛はCGだからちょっとしたご愛嬌でしょう。
測定機のドロシーという名前は、(ご存知)『オズの魔法使い』(やはり竜巻が重要な役割を担う)の主人公の名前なので、オマージュのつもりであることはまちがいないと思います。でも私がこの作品の科学者だったら、絶対「トト」(ドロシーの飼い犬の名前。一緒に冒険する)ってつけると思うな。たぶん、何かの制約があってつけられなかったのでは? ドロシーは女の子の一般的な名前だから問題なかったんでしょう。
製作、脚本に私の大好きなマイケル・クライトンが参加してます。通常のクライトン作品は、科学の力を過信した人間たちが、自然の力を甘く見たために自然からしっぺ返しを食う、というのが定型パターンなのですが、偉大な自然に謙虚に立ち向かう科学者たち、というのも微妙に観点をずらした別バリエーションとして楽しめました。ってか、こっちの方が登場人物に共感できて好きかも。
この手の作品に「話がつまんない」「ロマンスが薄っぺらい」「人間が描けてない」とか文句つけることで、自分の頑固な幼稚っぽさや溌剌とした知性の欠如ぶりをさらけだしてみせても、他人に不快を与えるだけかもしれませんが、一つだけ言わせていただくと、悪役の人(といっても同じ科学者仲間で、極悪非道の人というわけではない)があっさり殺されちゃうのはやっぱチトやりすぎかと。後味悪いスよ。
あと1つ、エキストラの人たちの演技がなかなかよかったです。どうやって“演技指導”したのか知りませんけど、パニックになって逃げ惑うシーンなんか、ほんとに顔の表情が恐怖に引きつっているように見えました。もしかして、あれもCG? ・・・と書いたらreviewのオチとしてはキレイですが。
80/100(02/02/10書直)
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