未来人の目的と予定調和、まさに重要なキーポイントですな。ドラえもんを観続けたこの国の人間としては、過去への介入が未来に及ぼす影響を甘く見る気にはなれません。彼らが現在を救ってしまったら、彼らが現在を救うまでのプロセスが消滅するというパラドックスがありますし、それ以前に、未来における自分たちの存在自体を不明にしてしまうような決定的な過去への介入は、当人達にとって避けずにいられない危険です。

　機内で犯人（デビット・モース）と仲良くなった博士は、犯人から試験管を見せてもらおうとする。一本取り出して、自慢げに見せる犯人。手に取る博士、その瞬間、博士は消滅、すなわちその時点、その瞬間にバック・トゥー・ザ・フューチャー！ 犯人よ、あとは歴史どおり暴れなさい！ つまりワクチン生成のための原種を手に入れて、世界は歴史が一旦辿ったとおりに滅ぼしておく。これでいいんですよね？ 違ったら、ごめんなさい。

　ただ、この映画を生成してばら撒いたテリー・ギリアム自身は、「最後？ 最後は、博士が世界を救ったのさ」と申してました。博士が未来から来た本人であるというのはいいんですが、彼女は犯人の凶行を阻止したとメイキングで言っておったのです。「何であんたがわかっとらんの？」と、脱力した記憶があります。