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[コメント] トイ・ストーリー(1995/米)

無限の彼方へ、さあ行くぞ!
ナム太郎

当時、最初にこれを見る前には、CGだけのアニメなんて随分冷たい感じがするのではないかなどという偏見を抱いていたことを懐かしく思いだす。しかしそれは、もちろん無用な心配だっただけでなく、劇中のバズの台詞ではないが、映画の可能性をまさに無限の彼方へと導く画期的なもので、その思いは、幾度となく鑑賞を重ねた現在においても何ら変わるところはない。

しかし、そうは言っても技術面における革新性だけで満足できるほど映画は甘くないわけで、その意味で本作の肝は、軸となる2体のキャラクター、すなわち玩具仲間のリーダー格ではあるが、自分が時代遅れの木製玩具であることにコンプレックスを抱いているウッディと、最新式のフィギュアではあるが、玩具という認識が全くなく、自分はスペース・レンジャーの一員であると信じ込んでいるバズ、それぞれの性格付けの秀逸性であり、その性格付けを元として物語が進行していくという点であると思う。

また、物語が進行していく中で、彼らが「アンディの玩具」であることも大きな意味を持つ。これはかつて自分たちの玩具がそうであったように、玩具というものはその総数は数えきれなくても、いったん誰かの手に渡ってしまえばそれはその持ち主にとってのオンリーワンとなり、同様に玩具にとってもその持ち主の家が終の棲家となるわけである。このような玩具の性質を、アンディとは正反対の凶暴な隣人シド(名前からしてパンキッシュ。個人的には本作の助演男優賞を進呈したい)を登場させて発展させる、その着想からしてすでに素晴らしすぎる。

そのような意味で、この映画はその製作がスタートした段階ですでに傑作たりえることが約束されていたような映画である。そこに例の飛行に関するエピソードがからんできたときには、まさに映画という媒体自体が過去を飛び越え、無限の彼方へと飛んでいったようなそんな気がしたものだ。

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あと、言おうと思ったら先に言われていたのだけど、自分もクライマックスの火花は『ルーキー』だと思った。

(評価:★5)

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