[コメント] 火垂るの墓(1988/日)
戦前の日本人の生き方にこういう意固地な面があって、その功罪を象徴しているものと見ることもできるのではないか。
新しいものに巻かれたくないというか、それまでの価値観や誇りを捨てられない・・・その誇りがどれほど正しいかの問題ではなく、それを捨てきれない者がいて、その誇りのために巻き込まれる妹がいる。これがそのモデルであるとするなら、自分は確かに、そこに戦前への問いかけを感じるし、また作品が存在することの意義を見出すことも出来る。
両親や祖父母の時代の社会や人々の生き方には、今時の善悪や価値観で割り切ってはならないものもある。今の視点からすればおかしいとは見えても、本人達にとっては、そうすることが当然であったというような、そんな諸々の当時の価値観があった。
自分がどうしてもこの作品を切り捨てられないのは、そこに、そういった時代と世代の隔絶の片鱗を、確かに感じるからであります。
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