[コメント] 楢山節考(1983/日)
「喰う」為にはどんな事でも為す掟。人間の生存本能の凄まじさを極限とでもいうべきエピソードで抉り取る。ただ惜しむらくは「所詮は人間もただの生き物」というメッセージが明確過ぎるカットで執拗に挿入されてしまう。観客はそれほど馬鹿ではありません。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そして大袈裟な音楽も本作には邪魔に感じられた。しかし、その反動として、一家根絶やしの生き埋めシーンでは途中から音楽をカットし、静寂の中で延々と土を埋めていく村人たちを撮った。良い悪いはあるだろうが、このシーンがトラウマにならない方がいたらお目にかかりたいほどだ。
同様に山中での永遠の別れのシーンでも、途中から大袈裟な音楽がカットされ、良いシーンになったと思う。
つまり、今村の大袈裟、もしくは言葉を換えれば馬鹿丁寧な演出が過剰だったのだ。役者たちは皆、それぞれ渾身の芝居をみせたと思う。だからこそ今村の過剰演出無しでも充分だったはずだ。皆さんが御指摘の通り、蛇や蛙やカマキリ等の自然の営みをわざわざインサートする必要などまったく無かったはずだ・・・
PS、それでも★5を点けてしまうのは、そんな今村の方向性が決して間違ってはいないから。さらに「人間とは?」という壮大過ぎるテーマに挑んだ姿勢と、それに対してこれほど明確な答えを出した本作の意義を考えれば迷わず★5を点けてしまいます。
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