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[コメント] 女だけの都(1935/仏)

臆病と勇気
ルミちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







幼かった頃、熊に出会ったら死んだふりをしろ、と言うことを良く聞きました.この映画も同じ、戦っても適いっこない相手に対しては死んだふりをしろ、どうもそれを結論にしているように思えます.

旋律として描かれているのは勇敢と卑怯、あるいは勇気と臆病(意気地なし).一般的に言えば勇敢が善、卑怯は悪で描かれるのですが、この映画は少し違い、勇敢と卑怯、勇気と臆病の対比ではなく、勇敢とそれを少し弱めた勇気、あるいは卑怯とそれを少し弱めた臆病、どうもその違いを描いているようです.

あの町長、死ぬのは自分一人でいいと死んだふり.勇気があるというよりやはり臆病.画家の男もなかなか結婚を相手の父親である町長に言い出せなくて、これも意気地なし. けれども、意気地なしは卑怯とは違う.町長と助役の肉屋は結婚を商売の取引に使うのですが、これは許されない卑怯な行為言わなければなりません.

さて、勇敢の方はと言えば、町長の妻は女だけでスペイン軍に立ち向かおうとする、一見勇敢に見えなくないけれど、その実態は女の武器で立ち向かうという、いささか怪しげな手法で、男たちと比べれば、逃げ隠れせず正々堂々と立ち向かう分、勇気のある行為ではあるのですが、勇敢とは言い難いようです. 使用人の娘のお尻を弓で射た男の子、母親一人で行かせまいと自分も一緒に行くと言う.母親は「優しい子ね」とは言ったのですが、勇敢とは言いませんでした.鏡をしっかり持っていて、とは勇気は認めるが、勇敢はたしなめた光景と思えます.

まとめましょう. 卑怯は悪、そして愛するものを守る勇気は忘れてはならないけれど、適いっこない相手に立ち向かうことは勇敢であるかもしれないが、本当に勇気のある行為かどうかは怪しい.

卑怯は争いを生む.勇敢も同様なのですが、臆病は争いを生みません.結果的に争いを起こさずに平穏のままスペイン軍は去って行きました. 勝手に抵抗してはならないとお触れを出して、自分は死んだふりの町長の行為は、描かれた通りその功労者であると言って良いのですね.公爵は小枝に水をつけ、死んだふりの町長にかけて後は知らん顔、あまりに弱すぎて相手にならなかったらしい. そして、妻が体を与えて町を守ったのではないはず.母親が子供の幸せを思う心と勇気が、もう少し広く捉えて、愛するものを守る心と勇気が町の幸せを守った、こう言って良いのでしょうか.

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)G31[*] りかちゅ[*] 死ぬまでシネマ[*] ボイス母

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