[コメント] 穴(1960/仏)
タイトルにもかかわらず、まぎれもなくハードボイルドの傑作。重みのある緊張感が全編にみなぎり、ハードボイルドとは、かくあるものかと、目を開かされた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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脱獄、という一つの目的に向かって、男たちは、緻密に、そして楽天的に、ストイックに、ひたすら力を尽くす。そしていっさいの無駄を省いた演出もすばらしかった。
同時に、真のハードボイルドとはなにか、見た目の派手さや「カッコよさ」ではなく、その根底には、暖かい人情味というか、人を思いやる心があるのではないだろうか。そしてそれを表面だてることなく、ぐっと渋くおさえるのが、陳腐な言い方だけれど、男の魅力ではないだろうか。
そのことを強く感じたのは、ラストシーン、裏切った新入りをちらっと見やったリーダー格の男が、そっと「かわいそうに」とつぶやいたシーンであった。
いかに刑務所から合法的に「脱出」できても、彼の人生は幸せになれるのか、そのことを、裏切られた状況でも、なお思いやる、これが真のハードボイルド、ってヤツだ、と私は心に刻んだ。
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