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[コメント] U・ボート(1981/独)

このテーマ曲でサッカードイツ代表が入場してきたら絶対応援するだろう。二次大戦の地上戦に対する地味すぎる戦いの記録。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ドイツのUボートのイメージと言えば「勇猛果敢で残虐で血も涙も無い冷徹な水中の暗殺者」。当然だがこれは勝った方が振り撒いたイメージだ。映画の本数を見れば明らかなのだが戦勝国の華々しい活躍を描いた映画はいくらでもあるが負けた方の映画ってあんまない。これは単純な話で負けた側は忘れたい、勝った側は誇らしい記憶として残したいって事に起因する。そして勝った側視点作品ばかり見せられた人はその視点で歴史を回顧することが常識となってしまう。これは日本の教科書うんぬんどころじゃない影響力を持っているわけよ。

で、こういうのが常識となった社会で負け側の潜水艦の話を描いただけでも賞賛に値する。何しろ彼らは「勇猛果敢で残虐で血も涙も無い冷徹な水中の暗殺者」ではない、とわかっただけで価値があるよ。よく作るよなあ、近隣諸国から文句は出ないのか?

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最初乗組員が艦内を前に走るので乗り物フェチではないオレは火事でも起こったか!?と思ったのだが船の角度を変えるためなのね。なるほどなぁ。これで思ったのだが潜水艦って常に水平でいるわけじゃないのだろうから場合によっては廊下を転げ落ちる可能性もあったって事か。映画の欠点として上げられるのは匂いが体験出来ないところにあるわけだが勾配もそうなんだね。この作品、この二つが実際スクリーンで体験出来たらどんなにかすばらしい(=最悪の状況)ものになっただろうか。最後の上陸後の死は例えるなら土の中に眠って眠って外に出てすぐ死ぬセミの様なものだがその何年もの地中での眠りをかいつまんで3時間程度で疑似体験したというそんな後ろめたさも残る。

とにかく3時間ちょいで気が狂いそうになるんだから実体験した人達は途方も無いトラウマだろう。今でも目が覚めたら潜水艦の中だったなんて夢は見るんじゃないだろうか?

それにしてもソナーが打たれるとどうしても息を止めてしまう。これで劇場でせんべい食っている奴がいたら神。

(評価:★5)

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