[コメント] 許されざる者(1992/米)
もう一度西部劇を描く事によって暴力を描く。その事を説得力を持って語れるのは、やはり映画界の中でイーストウッドしか居なかったのだ。そして彼は見事にその役目を果たした。アカデミー賞は、そういう意味だろう。[再見] ☆3.8点。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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幾ら嘗てならした名うてのガンマンだって、久し振りにひとを撃つのに必ず殺れる保証なんてない。イーストウッドは逡巡し、それを引き受けた。言うまでもなくマニーはイーストウッドであり、嘗てのマニーはもう居ないのである。
売春宿の事件が起きなければ保安官も恐怖でひとびとを縛る必要もなかった。射撃の腕が抜群だとしても、それでも虚勢を張らねばとても人など殺せるものではない現実。ブラフをかまし、自身を昂揚させて殺人を行なうガンマンたち。ひとつの事件が更なる悲劇を招き寄せる。ひとびとはそれに気づいているのか、気づいていても止められないのか。家を造るのに熱心だった保安官は次第に嘗ての手応えを取り戻し、そして「これならイケル」と確信し、殺された。…
そして許されざる者、…それは生き残ったマニーだ。生き残っても許される事はない。それを説得力を以て語れるのは、やはりイーストウッドならではだろう。
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