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[コメント] イースター・パレード(1948/米)

ジュディ・ガーランドが天才で繊細。どれだけ着飾っていても彼女だけ丸裸で晒されているような残酷さを感じてしまう。
G31

 どこを切っても名作。どこから切り出したらいいかわからない。言うまでもなくフレッド・アステアも素晴らしい。特にガーランドと二人でルンペンの格好をして歌い踊るシーン。優雅の権化みたいなアステアが、乞食を演じるギャップ、そのおかしみ。念のため言い添えておくと、RKO時代のアステアをこよなく愛す私の友人は、こんなのはジーン・ケリーに演らせればいいと文句を言っていた。彼の気持ちもなんとなくわかる、というか思わず笑ってしまったが、優雅というなら初めの方でアン・ミラーとアステアが踊る短いシーンが十二分に優雅だ。部屋の中で踊りながら、アステアが(得意の)テラスへミラーを誘導しようとすると、それを嫌気したミラーが寒がる素振りをする、すると彼女の気持ちを先読みしたアステアが、テラスへの扉を閉めて部屋の中で踊りを続けようとする。二人の男女の感情の遣り取りが見事にダンスで表現されていて、しかも上品なのだ。この優雅さはミラーならではだ。ガーランドにはコケットリーがあるし、エネルギッシュも簡単に表現するが、エレガンスがない。これだけでも、つまり後のタップ・シーンがなかったとしても、アン・ミラーが出演した意味がある。むろんタップ・シーンも凄いんだけど。

 MGMミュージカルのもう一つ(だけではないかも)の頂点、『雨に唄えば』と比べるとわかりやすいが、『イースター・パレード』はテンポがすこぶるいい。逆に言うと、『イーパレ』を見た後に見ると、『雨唄』は冗長に見えた。ダンス・シーンはこれでもかというくらい徹底して見せるし、物語もわりと生真面目に紡いでいく。それと比べると『イーパレ』は、物語はトコトコ進むし、楽曲は「もっと見ていたい聞いていたい」という物足りなさをあとに残しながら次々に展開する。端的に言って、『イーパレ』の方が一つの映画作品としては完成度が高いと思う。しかしミュージカル映画ファンなら『雨唄』のダンス・シーンにより満足を覚えると言えよう。要は両作とも大好きな私がそう区分けしているということだけど。

90/100(07/05/13記)

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] ジェリー[*]

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