[コメント] ベルリン・天使の詩(1987/独=仏)
とどまることない流れの中へ!
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
この世にはいろんな人がそれぞれあちらを向いたりこちらを向いたりしながらいっぺんに生きていて、自分もまたその一人として生きているということ。時は流れ続け、この同じ場所には歴史の分厚い積み重なりがあること。
そんなの映画に言われなくてもみんな知ってることなのだけど、そういう当たり前のことが、映画としてというよりもほとんどそのものとして、映像になって目の前に現れたようで、ひたすら感動した。
記憶の重なりが未だはっきり残る都市ベルリンだからこそ、こんな映画が生まれたのかも知れない。もしこの映画がよくわからなかったら、とにかくベルリンへ行ってみるといい。あの街にただいるだけで、この映画で感じられる以上に、この100年間の厚みを直接肌で感じることができるだろうから。そして、天使ダニエルが時の流れの中で生きていこうと決心したように、今のベルリンも、失った時間を取り戻そうとひたすら前向きに動き続けてもいるのだから。
ホメロスじいさんが言う「語り部がいなくなっては、人間の幼年時代が無くなってしまう」という言葉、「人間」を「映画」に置き換えてしまえばこれまでのヴェンダースになってしまうけれど、この映画ばかりはヴェンダース、映画のためではなく、なにより、愛のため、人間のために作ってくれたのだと思う。
ベルリンの空より、ヴェンダースからの素晴らしい贈り物。私はこの映画が大好きです。
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